二ノ宮知子『のだめカンタービレ』
天才がその才能の真価を発揮せんと歩む姿が好きだ。
『天才ファミリー・カンパニー』の記事でも書いたが、二ノ宮知子は天才を書くのがうまい。才能があって、やりたいことがはっきりしていて、突き進むことに迷わない、そんな天才たちを二ノ宮知子は、何度も描いてきたのではないかと思う。
その中でもやっぱり『のだめカンタービレ』が一番好きなのは主人公ののだめが、悩み、逃げようとしていることすら自覚的になれず逃げようとし、そして挫折を味わうからである。
いくら天才といえど、鍛錬することなしに、世界に通用することはできない。
のだめは類稀な才能を持っているが、その才能が荒削りなままでは到達できない世界がある。
千秋と出会うことによって、音楽の楽しさ、自分の才能の可能性を最大まで活かす喜びに目覚めていくのだめは、それでもなんども、その喜びを得るまでの厳しさに、立ち止まり、つまずき、逃げようとしてしまう。そうしながら徐々につよく、つよくなっていくのだめの姿を描いているところが、『のだめカンタービレ』が二ノ宮作品の中で一番光っている理由なんではないかと思う。
お気に入りは、はじめてのピアノコンクールの後ののだめ。
おちこんだときに何度も読み返してしまう。
のだめカンタービレ全25巻 完結セット (講談社コミックスキス)
- 作者: 二ノ宮知子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/12/01
- メディア: コミック
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